「ボランティアから始める自己発見」
- Anonymous

- 11月26日
- 読了時間: 3分
ーボランティアから得る貴重な経験ー
著者名:中島 風友
ボランティアからは少々脱線しますが、地元って、その人のアイデンティティーの一つで、その人にとって唯一無二の場所ですよね。
では、皆さんにとって、「地元」と言える場所はありますか? 多くの人にとっては、聞くまでもない質問かもしれませんが、私は未だその質問に自信を持って「はい」と答えられないでいます。
今まで親の仕事の都合でさまざまな場所を転々としていました。生まれこそ日本ですが、物心ついた頃にはアメリカに、5歳になって日本に戻ってきたと思ったら3年後にはシンガポールに、と様々な国で幼少期を過ごしてきました。そのため、私には明確な「地元」は存在しないのだと考えていました。

(住んでいた国の一つであるシンガポールでの学校行事の様子)
では、私たちの「地元」を定義づけるのは、その地域で過ごした時間のみなのでしょうか。
滞在期間で言えば、私は東京が一番長いので東京が地元ということになりますが、何か違和感を覚えました。皆さんもきっとその年数だけが本質ではないと考えているはずです。それはつまり、滞在期間以外にも、私たちの「地元」を形成する要因があるからではないでしょうか。私はその要因の一つが、滞在場所で得た「経験」なのではないかと考えています。
経験には失敗や成功と様々ありますが、全てにおいて何らかの形で、自身の長所や短所、興味などを認識することができます。つまり、ある場所で多くの経験を積めば、その場所でより多くの自己理解・自己発見が行われ、このような場所がその人にとってアイデンティティーを形成した大切な場所、「地元」となるのではないでしょうか。この考え方を持ってから、私は自信を持って東京を「地元」と言い切れるようになりました。
この考え方に触れるきっかけとなったのが、初めてボランティアをした中学一年生の時のボランティア活動でした。ボランティア内容は、とある東京のマラソン大会の沿道応援でした。応援用のボードを持っていても、最初は知らない人を応援する勇気が出ず、ものすごく小さい声でしか応援できませんでした。しかし、そのマラソン大会で多くの人が様々なコスチュームを着て走っていたり、笑顔で走っていたりする様子を見て、次第に私自身も楽しんで、大きな声で応援できるようになりました。最後にはガラガラに喉を枯らしながらも、もう終わりかと、ボランティア終了を惜しむ気持ちでいっぱいになっていました。この経験を通して私は、知らない人とも楽しめる新しい自分に出会えたと同時に、そんな新しい自分に出会えたこの場所に愛着を感じました。今思えば、その愛着こそ、「地元愛」だったのかもしれません。
ボランティアは、社会に対する貢献のみではなく、自分自身に対しての貢献でもあると思います。実際、私もボランティアを通して、自分の新しい一面や、アイデンティティーを認識することができました。新しい自分に出会いに、ぜひボランティアをしてみてはどうでしょうか。

(ボランティアを継続する理由の一つに、「活動を通じて知識や経験、気づきを得られるから」「様々な立場の人と交流できるから」などの、自己利益にもつながる理由が挙げられている。)
出典:東京都生活文化スポーツ局都民生活部(2025年1月).「令和6年度都民のボランティア活動等に関する実態調査」




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